2012年10月29日北海道新聞7面「読者の声」掲載
十年勤めた会社の退職金と貯蓄をドルに替え、
米国シアトルに渡ったのが二十九歳のときだった。
好きだった洋画洋楽の影響を受け、大学付属の
語学学校に一年間留学した。あの頃、どこに行っても
日本人が多いと言われたが、幸いクラスの半数が
外国人だった。メキシコの女子学生は毎朝、
ハグしながら両頬に軽くキスをして挨拶してくれた。
中東の男子学生は、週末、床にならべて食べるお国
料理をふるまってくれた。夫婦で来ていた韓国人は、
会話によく両親や祖先が出てきて、儒教の風土を知った。
その頃、中国人留学生はいなかった。
今、振り返って思う。あそこは小さな地球だったと。
あれから二十年たった今でも、ニュースに各国が出ると、
彼らの笑顔が浮かぶ。
最近、海外行きを拒む若者が増えてるという。
内向き思考や、新卒重視の社会で就職の不安もあるらしい。
でも、もしもチャンスがあったなら是非日本の外に出てほしい。
そこで得た経験は、一生の宝になると思うから。
コメント