NHKテレビ北海道スペシャルー作家渡辺淳一の素顔を見た。
彼に対しては札幌医大を卒業しながらエロ小説を書く道に進んだとんでもない人物というのが当初の印象である。官能小説を書くから悪いといってるのではない。医学部合格をめざし、将来は病に苦しむ人間を助けたいと思った青年が彼が合格したお陰で涙を飲んだわけである。不運の学生を思うと気の毒で彼がとった道がとんでもない人の道をはづれたことをやっていることに怒りを憶えるからである。しかしこのドキュメンタリーをみて偏見は和らいだ。昭和43年だったろうか、札幌医大で和田寿郎が日本初の心臓移植を行った際、助手として彼の執刀を手伝う。その後アメリカ帰りの彼は新潮社の記者松田宏のインタビューをうけ和田教授批判しそのコメントが記事になり、いきおい心臓外科グループから村八分となり大学を辞めざるをえなくなるのである。医師でありながら小説書きを趣味としていた彼は小説家の道に進む決心をする。彼にはその道しかなかったのである。彼の男女の恋愛小説の原点は札幌南高校時代に遡りそこで同級の加清純子(かせじゅんこ)という天才少女に魅かれていくのである。そして初めての口づけを交わし、恋に堕ちる。その遍歴が「阿寒に果つ」の小説に描かれている。加清純子との関わりが彼の小説家への根底を為すのである。人間には人には言えない情念・愛欲が備わっているのだというのが彼の小説をとおして云いたいことなのだ。
「失楽園」渡辺 淳一 ― 2015-06-19
人生
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